
マスクの材料に使用されている不織布について、どのような素材なのか詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。
不織布はマスクに限らずさまざまな用途に使用される、使い勝手の良い材料です。
本記事では不織布がどのような素材なのか解説します。特徴や原料、使用される目的も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
不織布とは織らない布状の生地のことです。
一般的に布状の生地は、糸を使って編むもしくは織ることで作りますが、不織布は原料を積み重ねて接着力のある樹脂で結合させたり、絡ませたりするなど、さまざまな方法で結合させて作成します。
不織布は使う原料や製造の仕方を変えることで、素材そのものの強度や不織布の風合いを変えられるのが特徴です。
不織布は使用できる用途の幅が広く、さまざまな分野で利活用されています。
不織布の歴史は1900年代前半にまでさかのぼります。1920年代にドイツにあるフェルト業者が、毛のくずや紡毛などを集めて接着剤で固めた、フェルトの代用品を制作しました。これが工場で初めて作られた不織布です。
それ以降、欧米で不織布の研究が進み、合成繊維や合成ゴムの材料が応用されて、現在と同じような不織布が開発されるようになりました。
日本には1950年代にアメリカから乾式不織布製造装置が導入され、国内各社が不織布の生産を開始しました。
不織布は先述の通り繊維を織らずに結合するため、繊維と繊維の間にごくわずかな隙間ができる構造になっている点が特徴です。この構造を「ポーラス構造」と呼びます。
ポーラス構造を持つことにより、不織布にはさまざまなメリットやデメリットがあります。メリット・デメリットそれぞれについて見ていきましょう。
不織布のメリットは、繊維を編んだり織ったりしないため、編物や織物と比較して大量生産が可能で、低コストでの製造が可能な点です。
また原料や製造方法の組み合わせが多く、密度や厚みを柔軟に調整できます。これにより、布状にすることもできれば紙状にすることもでき、さまざまな用途で使用できるのも不織布のメリットです。さらに原料の組み合わせによっては抗菌性や撥水性などの機能を付与できるなど、不織布には多くのメリットがあります。
不織布のデメリットは、織物や編物に比べて耐久性が低いことです。何回も繰り返して使用する目的には向いていません。また基本的に洗濯ができず、アイロンも使用できません。
さらに使用する原料や製法によっては劣化しやすい他、ドレープ性(自然にできる布のたるみ)が低く、伸縮性は期待しにくいといえます。
不織布に使用される原料にはさまざまな種類があり、使用する目的によって原料が異なります。
繊維は以下の2種類に分けられます。
それぞれについて、不織布で使用される主な繊維を見ていきましょう。
不織布に天然繊維が使用される場合の原料と、不織布の使用目的は以下の通りです。
| 使用される天然繊維 | 不織布の使用目的 |
|---|---|
| 綿 | ・吸水性に加えて肌触りの良さ、柔らかさ、通気性の良さが特徴 ・医療用品やワイパーに使用されることが多い |
| 麻 | ・強度や耐久性、自然な風合いが特徴 ・土木、建築用の資材や農業用のマルチシート、エコバッグなどに使用される |
| 羊毛 | ・吸湿発散性や防火性、自然な保温性が特徴 ・断熱材や防音材、冬用衣類、高級フェルト製品などに使用される |
| パルプ | ・紙の原料として使用される繊維 ・医療用品や化粧品、食品関連の用途で使用される |
| 竹 | ・抗菌性や吸湿性、速乾性が特徴 ・キッチンクロスやタオル、ウェットティッシュの他、使い捨ての衣類などに使用される |
不織布に化学繊維が使用される場合の原料と、不織布の使用目的は以下の通りです。
| 使用される化学繊維 | 不織布の使用目的 |
|---|---|
| レーヨン | ・吸水性と肌触りの良さ、柔らかさが特徴 ・ウェットティッシュやガーゼ、フェイスマスクシートなどに使用される |
| ポリエステル | ・強度や耐久性、耐熱性、耐摩耗性が特徴 ・自動車の内装材やフィルター材、テーブルクロス、カーテンなどに使用される |
| ポリプロピレン | ・低コストかつ軽量で耐久性、耐化学性が特徴 ・医療用マスクやおむつ、サニタリーナプキンなどに使用される |
| ポリエチレン | ・耐水性や耐化学性、柔軟性が特徴 ・包装材料や農業用フィルム、防水シートなどに使用される |
| アラミド繊維 | ・耐熱性や耐久性が特徴 ・フィルター材や絶縁材などに使用される |
| ナイロン | ・耐摩耗性や耐久性、耐熱性が特徴 ・医療用のステッチ材料や高性能フィルター、耐久衣類などに使用される |
不織布は低コストでの生産が可能で、自由な形状に成形できるため、さまざまな用途で使用されます。また素材や製法を組み合わせることで、さまざまな機能を与えることができるのが特徴です。記事で紹介したように、身の回りのさまざまな製品に不織布が用いられています。便利で使い勝手が良い不織布は、今後もさまざまな場面で登場するでしょう。










